奈良家庭裁判所 昭和63年(少)1029号 決定 1988年9月14日
主文
少年を中等少年院に送致する。
理由
1 非行事実
少年は、G、H、A、B、Cと共謀のうえ、昭和63年6月26日午前0時30分ごろ、奈良県桜井市大字○○××番地の×○○店架設テント倉庫内において、同店店長D管理にかかるウエツトテイシユーペーパー等120点時価合計39,000円相当を窃取したものである。
2 適条
刑法60条、235条
3 処遇
少年は、前回の傷害事件で不処分の審判を受け、その際これまでの無軌道かつ自己中心的な生活態度を改め、法に触れるような行動を慎むことを促され、少なくとも当分の間その効果が持続するものと期待されたにもかかわらず、ほとんど感銘を受けた形跡がなく、審判の後わずか9日目に本件の非行を犯すに至つた。本件は集団による犯行であるが、少年はこれに積極的に関与しており、被害自体は特に大きなものではないが、集団で車を利用し、倉庫内の商品を盗み出すという犯行の手口は悪質で、計画性もあり、軽微な犯行ということはできない。しかし本件に対する少年の責任の自覚は、未だ表面的なものに止まり、自己顕示欲が強く、不良グループの中心的存在とみられる少年が今後自らその行動を抑制することは期待し難く、再非行に陥る虞れが顕著である。
その他記録上認められる少年の前歴、性行、資質、境遇等に鑑みると、少年の健全な育成を期するためには、この際少年を中等少年院に送致し、厳格な矯正教育により、節度ある生活習慣と規範意識を身につけさせる必要があると認められるから、少年法24条1項3号、少年審判規則37条1項を適用して主文のとおり審判する。